法務省管総第1671号
平成15年11月17日
入国者収容所長 殿
地方入国管理局長 殿
地方入国管理局支局長 殿
法務省入国管理局長
 増田 暢也


出入国管理及び難民認定法第62条第2項に基づく
通報義務の解釈について(通知)


 当局では、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第62条に第2項に基づく通報義務の解釈に関し、国会等において、下記のとおり説明していますが、平成15年4月からは、別添のとおり、内閣府男女共同参画局のホームページ「配偶者からの暴力被害者支援情報」に「被害者が外国人の場合」と題して、配偶者暴力相談支援センターの職員の通報義務について同様の内容が掲載されています。ついては、この趣旨を部下職員に周知徹底するとともに、外部から照会があった場合には、その旨説明願います。
 なお、管下出張所に対しては、貴職から通知願います。


 入管法第62条第2項に基づき、国又は地方公共団体の職員には、その職務を遂行するに当たって、退去強制事由に該当する外国人を知ったときは、通報義務が課せられている。しかし、その通報義務を履行すると当該行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合には、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能である。
 なお、不法滞在の状態にある配偶者等の暴力の被害者が日本において正規に在留できる状態を回復するためには、入管当局に出頭の上、退去強制手続の中で、法務大臣から在留特別許可を受けるしか方策はないので、仮に支援センターにおいて、通報しない場合であっても、在留資格を回復させるため、入管当局への出頭を勧めることが望ましい。

添付物 
内閣府男女共同参画局のホームページ(抜粋) 1部

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内閣府男女共同参画局のホームページ(抜粋)

Q&A
問: 不法滞在外国人からの相談を受けた職員は、出入国管理及び難民認定法第62条第2項に基づき、入国審査官又は入国警備官に通報しなければならないか。

答: 国又は地方公共団体の職員には、法律上通報義務が課されている。しかし、その通報義務を履行すると課せられている行政目的が達成できないような特殊例外的な場合には、通報義務により守られるべき利益と職務の円滑な遂行という公益の比較衡量により違法性が判断される。
 また、不法滞在の状態にある被害者が日本において正規に在留できる状態を回復するためには、入管当局に出頭の上、退去強制手続の中で、法務大臣の在留特別許可を得るしかないことから、支援センターにおいては、その旨を説明した上で、入管当局への出頭を勧めることが望ましい。