議員案第1号
小金井市の地下水及び湧(ゆう)水を保全する条例
地方自治法第112条及び小金井市議会会議規則第14条の規定により提出する。
平成16年2月26日提出
小金井市議会議員
伊 藤 隆 文
小 山 美 香
稲 垣 庸 子
若 竹 綾 子
漢 人 明 子
西 岡 真一郎
青 木 ひかる
関 根 優 司
鈴 木 洋 子
高 木 真 人
渡 辺 大 三
(提案理由)
地下水及び湧(ゆう)水を保全する必要があるため、本案を提出するものであります。
小金井市の地下水及び湧(ゆう)水を保全する条例
前文
小金井市には、地下水が湧き出る国分寺崖(がい)線(はけ)が東西に延びており、湧(ゆう)水に親しみを持つ多くの市民が住んでいる。このような中で、地下水の保全を願う市民の努力により、小金井市の雨水浸透ますは、世界的にみても高い設置率になっている。
地下水は、大気、地表、地下及び海洋における水循環の中にあって、環境を構成する重要な要素である。また、河川水と比べて水温の変化が小さく、土壌のろ過作用を経て水質が清浄であることから、安全性、使い易さ、おいしさなど飲料水としても優れた特性を持っており、小金井市では、水道水の多くを地下水に求めている。
一方、近年都市化による地表の被覆や地下水脈の分断、汚染等が進み、地下水及び湧(ゆう)水への影響も深刻である。
ここに、健全な水循環を取り戻し、市民共有の貴重な財産である地下水及び湧(ゆう)水を保全するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、地下水の涵(かん)養を更に進めるとともに、地下水脈の分断を防ぎ、汚染のない地下水を適正利用しながら、安全な飲料水を確保し、地下水の保全及び湧(ゆう)水の回復を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 地下水 雨水等が地下に浸透して蓄えられた小金井市(以下「市」という。)の区域内の地下に存在する水をいう。
(2) 湧(ゆう)水 市の区域内において地下水が湧き出たものをいう。
(3) 大口地下水利用者 日量平均500立方メートル以上の地下水を採取し、利用する者をいう。
(4) 地下水影響工事 建築物その他の工作物等の工事で、地下水の水位、水質、流れ又は湧(ゆう)水に影響を及ぼすおそれがあるものをいう。
(5) 雨水浸透施設 雨水浸透ます、雨水浸透トレンチ、透水性舗装又は雨水浸透側溝等雨水の地下浸透を促進するための施設をいう。
(6) 雨水貯留施設 雨水を一時的に貯留することにより、雨水の流出を抑制し、その利用を図る施設をいう。
(7) 適正管理化学物質 都民の健康と安全を確保する環境に関する条例施行規則(平成13年東京都規則第34号)別表第11に掲げる化学物質をいう。
(市の責務)
第3条 市は、次に掲げるところにより、貴重な飲料水源及び自然環境資源である地下水及び湧(ゆう)水の保全に係る必要な措置を講じなければならない。
(1) 地下水及び湧(ゆう)水を将来にわたって保全するために、総合的かつ計画的な施策を
実施すること。
(2) 市民及び事業者に地下水及び湧(ゆう)水の保全に関する情報を適切に提供し、意識の啓発を図るとともに、市が実施する地下水及び湧(ゆう)水の保全に関する施策に協力を求めること。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、地下水及び湧(ゆう)水の保全のために必要な措置を講ずるとともに、市が実施する地下水及び湧(ゆう)水の保全に関する施策に協力し、第21条に基づく指導に従う責務を有する。
(大口地下水利用者の責務)
第5条 大口地下水利用者は、雨水の利用、地下水の涵(かん)養及び節水に必要な措置を講ずる責務を有する。
(市民の責務)
第6条 市民は、節水、緑地の保全等により自ら地下水及び湧(ゆう)水の保全に努めるとともに、市が実施する地下水及び湧(ゆう)水の保全に関する施策に協力するものとする。
(地下水等の現況把握等)
第7条 市長は、地下水の水位、水質、流れ及び湧(ゆう)水の現況把握に努めるとともに、地下水影響工事に対する措置等について情報収集に努めるものとする。
(地下水保全会議)
第8条 市長は、地下水に関する情報分析等のために、学識経験者等で組織する小金井市地下水保全会議(以下「会議」という。)を設置するものとする。
2 会議は、市長が委嘱する委員5人以内をもって組織する。
3 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。
4 会議に、会長及び副会長各1人を置き、委員のうちから互選により定める。
5 会長は、会議を代表し、会務を総理する。
6 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
7 前各項に定めるもののほか、会議の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(雨水浸透施設の設置等)
第9条 市は、雨水を地下浸透させるために、建築物の新築又は増改築等に際し施工主に対して、雨水浸透施設の技術指導基準(昭和63年5月18日制定)による雨水浸透施設の設置について協力を求めるものとする。既存の建築物についても、また、同様とする。
2 市は、健全な水循環を維持、回復するために、緑地及び樹林地の保護、拡大、農地の保全などの施策を進めることにより雨水の自然な地下浸透を図るとともに、特に市の管理する公共用施設の整備に当たっては率先して雨水の地下浸透を図るものとする。
(雨水貯留施設の設置)
第10条 市は、建築物の所有者等に対して雨水貯留施設の設置について協力を求めるとともに、雨水の積極的な利用について啓発するものとする。
(節水等)
第11条 水道水を使用する者は、その多くを地下水に求めていることを考慮し、節水に努めなければならない。
2 地下水を採取し利用する者は、その適正な利用を図るとともに、地下水の涵(かん)養に努めなければならない。
(地下水の流れの確保)
第12条 建築物その他の工作物の新築等をしようとする者は、地下水の流れを妨げ、地下水の保全に支障を及ぼさないように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(地下水影響工事に係る書類の提出)
第13条 市長は、この条例の目的を達成するため、別に定める基準により、地下水影響工事の施工主に対し、当該地下水影響工事に係る地質報告書の写しその他の書類の提出を求めるものとする。
(地下水及び湧(ゆう)水の汚染の防止)
第14条 市は、地下水及び湧(ゆう)水の汚染(以下「地下水汚染」という。)のおそれがあると明らかに認められるときは、速やかにその汚染防止のための措置を講ずるよう努めなければならない。
(汚染の場合の措置)
第15条 市は、地下水汚染が発生し、又は発見された場合は、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(平成12年東京都条例第215号。以下「都条例」という。)及び東京都土壌汚染対策指針(平成15年東京都告示第150号)により東京都及び近隣市と連携し、必要な措置を講ずるものとする。
(適正管理化学物質の使用実績等の報告)
第16条 市内に工場及び指定作業場を設置している者で規則で定める量以上の適正管理化学物質を取り扱うものは、毎年度、その前年度の当該適正管理化学物質の使用実績等について、市長に報告しなければならない。ただし、都条例第110条の規定に基づく報告をしている者は、それをもって代えるものとする。
(地下水及び湧(ゆう)水の保全・利用に係る計画)
第17条 市長は、地下水及び湧(ゆう)水の保全・利用に係る計画を小金井市環境基本条例(平成15年条例第4号)第9条に規定する環境基本計画の中に定めるものとする。
(市民団体等との連携)
第18条 市、市民団体、公共的団体及び事業者は、地下水及び湧(ゆう)水の保全並びに現況把握、情報の収集等について連携し、相互に協力するものとする。
(東京都及び関係地方公共団体との広域連携)
第19条 市は、地下水の広域性、流動性等の自然要因にかんがみ、東京都及び関係地方公共団体との広域連携を緊密にするとともに、地下水涵(かん)養のために相互に働きかけるよう努めなければならない。
(災害時の利用)
第20条 市は、災害時に地下水及び湧(ゆう)水を利用することができるようその保全に努め、必要な措置を講ずるものとする。
(指導)
第21条 市長は、地下水又は湧(ゆう)水を汚染した者、汚染するおそれがあると明らかに認められる者、第13条による書類の提出に応じず、又は第16条の規定に基づく報告をしない者もしくは虚偽の報告をした者に対して、指導することができる。
(委任)
第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付 則
(施行期日)
1 この条例は、別に規則で定める日から施行する。
(特別職の給与に関する条例の一部改正)
2 特別職の給与に関する条例(昭和31年条例第22号)の一部を次のように改正する。
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環境審議会 |
会長 |
日額 |
11,000円 |
委員 |
日額 |
10,000円 | |
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環境審議会 |
会長 |
日額 |
11,000円 |
委員 |
日額 |
10,000円 |
地下水保全会議 |
会長 |
日額 |
11,000円 |
委員 |
日額 |
10,000円 | |
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